研究

【研究デザインとは?】種類と具体的な方法を事例を交えて徹底解説!!

どーもー!!ナツです!!
今日はどうしたのー?

教授に研究デザインを考えてこいって言われたんだけど、研究デザインってどうやって考えるのー?

研究を始めて、最初に躓くのが研究デザインではないでしょうか。

いきなり研究デザインなんて言われても、「なにそれ?おいしいの?」ってレベルで分からない人もいるかもしれません。

しかし、研究を行う上では研究デザインがとても大切です。

研究デザインが9割といっても構わないくらい重要な核となる部分です。

研究デザインが適切でないと研究途中で不具合が出てきたり、結果の信憑性が落ちてしまったりしてしまいます。

反対に研究デザインさえきちんとしていれば、あとはそれに沿って研究を進めていけば素晴らしい研究となることでしょう。

安心してください。研究デザインは大枠の型は決まっています。

この記事では、研究デザインの型について、具体的な事例を交えつつ、分かりやすく解説していきます。

研究を始めたばかりの初学者、卒業研究などで研究を初めて行う方などはぜひ最後まで読んで、研究デザインの基礎を学んでいってください。

私自身が医学分野で研究を行っていますので、事例も医学分野寄りになってしまいますが、ご了承ください。

それでは見ていきましょう。

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研究デザインの種類

研究デザインの大枠の型は決まっていて、以下のようなものがあります。
 
  • 症例報告
  • シングルケーススタディ
  • 観察研究・調査研究
  • 介入研究・実験研究
  • メタアナリシス・システマティックレビュー
それぞれ、特徴が異なるので、自分が検証したい事柄が適切に検証できる手法を選びましょう。

症例報告

ある患者さんの治療を行いました。
その際、従来の治療法Aと新しい治療法Bの併用で治療を行った結果、一定の治療効果が認められました。
治療法Aと治療法Bはどちらも効果が検証されている治療法だけど、その併用効果についての検証はされていません。
1事例だけですが、この事例の治療効果について検証を行いたい。

このような場合は症例報告を行います。
 
症例報告は1例~数例の症例について治療の経過をまとめたもののことをいい、通常は、珍しい疾患や特異な症状、特別な治療が功奏した場合に用いられます。
 
症例の詳細な情報を提示するとともに、文献的な知見を伴って症例を解説し、治療の有効性を示すわけです。
 
また、初めての学会発表などでは、自分が行った治療を症例報告としてまとめて発表するのも良いと思います。
 
症例報告としてまとめることで、自身へのフィードバックにもなりますし、その後の治療の参考にもなります。何より、文献を調べる力や文献的な思考力が身につくと思います。
 
ただし、症例報告は一般にエビデンスレベルが低いとされています。
 
1事例~数例のみでは、その効果が一般化(すべての人に当てはまるかどうか)されるのかは怪しいということですね。
 
これは、症例報告が取っかかりやすく、短期間で実施可能なことから、研究入門として若手に勧められてきたことの起因しているように思います。
 
ただ、僕は症例報告も立派な研究だと思っています。
 
症例報告は日々の疑問を解決するための実体験のような示唆を与えてくれますし、実際に症例報告の論文は数多く存在しています。
 
もし症例報告が全くダメということであれば、研究の世界からは弾かれているはずです。
 
今なお、症例報告が活発に行われているということは、一定の意味があるからだということです。

シングルケーススタディ

一人の事例に対して、新しい治療法の効果検証を行いたい。
新しいは事例の歩行能力を向上させる可能性が考えられる。
治療を行っていない時期の歩行能力と治療を行った時期の歩行能力を比べて検証をしてみよう。

このような場合をシングルケーススタディと呼びます。
 
症例報告と同様に1事例~数例ではありますが、介入と結果の測定を定期的かつ計画的に行う点が圧倒的に異なります。
 
シングルケーススタディでは治療を行わない、もしくは従来の治療法を行う時期をA期、新しい治療法を実施する時期をB期とし、それぞれ時期の組み合わせによりABデザイン、ABAデザイン、BABデザインのように変化させることが可能です。
 
シングルケーススタディのメリットは少数事例でも実施できるため、研究を速やかに遂行できる点にあります。
 
反対にデメリットとして、特に医学系の場合は、時間的経過や偶然といったバイアスを除去することが難しいことが挙げられます。
 
注意点としては、各期の期間は一定にすること、各期の前後でデータをとり、その変化量を比較することです。
 
上の例にABAデザインを当てはめると、「治療を行わないA期ではあまり変化しなかった歩行能力がB期では改善した。また治療を行わないA期に戻すと歩行能力の改善が認められなくなった。そのため、この治療法は効果があるといえる」ということになります。
 
最近では、治療を行わない時期で研究を終了することに倫理的問題があることが指摘され、BABデザインが推奨されているように思います。

観察研究・調査研究

  • 肺がんになる原因は喫煙であると仮説をたてたけど、本当にそうだろうか?肺がん患者の喫煙の有無を調べて喫煙歴に差があるかどうかを検証してみよう。
  • 治療への積極的な参加はどのようにして決まるのだろうか?家族の支援とかは関係ありそうだけど、それぞれを調べて検証してみよう。
効果検証を目的とした意図的な介入は加えず、経緯や経過をありのまま観察し、検証することを観察研究と呼びます。
 
観察研究はさらにそのデータ収集の方法で、ケースコントロール研究コホート研究横断研究などと分けることが出来ます。
 
また、調査研究は観察研究とよく似ていますが、主にアンケートを用いた横断研究の場合、調査研究とすることが多いように感じます。

ケースコントロール研究

ケースコントロール研究は疾患に罹患した対象者の特定の要因への暴露状況を確認し、疾患に罹患していない人と比べてどうであったかを検証する研究方法です。
 
上の肺がんと喫煙の例はケースコントロール研究に当たります。
 
これは、時間軸を縦にとって過去に遡って要因への暴露を検証するため、後ろ向きコホート研究などとも呼ばれます。

コホート研究

コホート研究は特定の要因へ暴露している集団と暴露していない集団を追跡調査し、その後の発症率や罹患率を検証する方法です。
 
また、肺がんと喫煙についての例で説明すると「喫煙者と非喫煙者を20年間追跡して、肺がんの発症率を比較する」などとするとコホート研究となります。
 
ケースコントロール研究と違い、時間軸を縦にとった場合、現在から未来に向かってデータをとるため、前向きコホート研究などとも呼ばれます。

横断研究

横断研究は、現在の1時点のみのデータ収集で完結しする研究方法です。
 
上の例の治療への積極参加要因の検証などは横断研究に当たります。
 
データは、過去のものでも未来のものでもなく、1時点でのみ収集されています。
 
アンケート調査や、世論調査などもこれに該当します。
 
時間軸を縦にとって、1時点だけのデータなので横断研究と呼びます。

介入研究・実験研究

  • 新しい治療法を開発したけど、従来の治療法と比較して本当に効果はあるのだろうか?
  • 授業としてアクティブラーニングを導入したけど、導入する前と比較して学生の成績は向上しているのか検証したい
このような場合は、介入研究と呼ばれます。より実験的な手順を踏んでいれば実験研究と呼ばれますが正確に鑑別する必要はありません。
 
介入研究では、実際に対象者に介入を行い、その結果を比較することで介入の効果の検証を行います。
 
介入研究では、介入群と対照群を用意する場合が多いと思います。介入群は実際に効果を検証したい介入を行う対象者達を指し、対照群は何もしない、もしくは、従来の介入方法を実施する対象者達を指します。
 
何もしない人達と比べて、介入した人達の方がいい結果が得られたよと証明することで、介入の有効性を示すわけですね。
 
他にも、介入しない期間中のデータを収集し、その後に介入を行い、それぞれの結果を比較する方法などもあります。
 
この時の対象者の振り分け方法によってランダム化比較試験となったり、非ランダム化比較試験となったりします。
 
介入研究で最も注意をしないといけないことは研究倫理です。
 
介入研究にかかわらず研究倫理はとても重要な事項ではありますが、介入研究の場合、特に注意が必要です。
 
まず、介入が対象者への侵襲や苦痛を伴う場合は、倫理審査委員会の承認を得て、きちんと対象者に説明し、同意を得る必要があります。
 
また、いつでも研究参加を止めることができることも説明しなければなりません。
 
次に注意すべき点としては対照群への配慮です。
 
自分が有効だと考えている治療法や介入法を行わない群を作ることは、対照群の不利益になる可能性があるということです。
 
対処としては、対照群とするデータは過去のものを使用するなどを行う必要がありますが、どちらにせよ、きちんと倫理審査委員会の承認を得て、対象者の同意の基、研究を実施しましょう。

システマティックレビュー・メタアナリシス

システマティックレビューとは研究疑問を解決するための根拠のある論文を一定の基準に沿って収集、要約してまとめる手法のことをいいます。
 
論文を集めれば何でも良いというわけでなく、レビューする論文を選定する基準に根拠が必要になります。
 
例えば、ランダム化比較試験のみを集める、エビデンスレベルの高いもののみを収集対象とするなどします。
 
メタアナリシスは、システマティックレビューで収集した論文の結果を統合して、統計的に検証する方法です。
 
システマティックレビューやメタアナリシスは、根拠の高い論文を集めて一つの結論を導いていくため、エビデンスレベルが最も高いとされています。
 
一方で、手法が大変複雑で、手法にもしっかりとした根拠が求められます。
 
かなりレベルの高い研究手法になりますので、実施する際はしっかりと指導を受けながら行うようにしてください。

まとめ

【症例報告】
1例~数例の症例について治療の経過をまとめたもの

【シングルケーススタディ】
1事例~数例に対して、介入と結果の測定を定期的かつ計画的に行ったもの

【観察研究・調査研究】
効果検証を目的とした意図的な介入は加えず、経緯や経過をありのまま観察し、検証したもの

【介入研究・実験研究】
実際に対象者に介入を行い、その結果を比較することで介入の効果を検証したもの

【メタアナリシス・システマティックレビュー】
研究疑問を解決するための根拠のある論文を一定の基準に沿って収集、要約してまとめたもの

以上が研究デザインの大枠の型になります。
 
このデザインに沿って、対象者や期間、データの収集方法などを検討して、データ収集を行いましょう。
 
研究デザインが研究の結果を決めるといっても過言ではありません。
 
しっかりと吟味して楽しい研究ライフを送りましょう。
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