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【心理尺度の信頼性とは!?】概念から検証方法まで分かりやすく解説します!!

どーもー!!ナツです!!
今日はどうしたのー?

尺度の信頼性は検討したのかって言われたんだけど、信頼性ってどうやって検証するの…?

尺度の信頼性という言葉を知っているでしょうか。
 
これは単純に尺度が信頼できるという意味ではなく、定義と検証する方法があります。
 
特に尺度を開発する研究では信頼性の検討は絶対必要となっていますし、開発研究でなくても心理尺度を使用する以上は信頼性の検討を行うべきだと思います。
 
ところが、信頼性について正しく理解できている人は意外に少ないのではないでしょうか。
 
この記事では、「信頼性について正しく理解したい」、「尺度研究を行っていて信頼性を検証する方法が知りたい」といった人に向けて、信頼性の概念や検証方法を分かりやすく解説していきます。
 
この記事を読めば、心理尺度の信頼性についての正しい知識を得ることができ、実際に信頼性を検証する手法について理解することができます。
 
難しい数式などは一切出てこないので、初心者の方でも安心して読むことができます。
 
それでは解説していきます。
  • 信頼性について正しく理解したい
  • 信頼性を検証する方法が知りたい

信頼性とは

信頼性とは心理尺度に関わらず、すべての測定手法や尺度の測定精度を表す概念です。
 
心理尺度に関わらず、何かを測定しようとする手段は十分に信頼性が検討されている必要があります。
 
心理尺度の考え方をもう少しかみ砕いて話すと「誰が、いつ、どこで測定しても同様の結果が得られる」ということです。
 
測定者や測定の時期、場所などあらゆる条件に影響されることなく、一定の結果が得られる尺度が信頼性が高い尺度と言えます。
 
ちなみに信頼性が低い尺度の場合は、検定力が下がってしまい、検定にかけたときに有意差が出にくくなってしまいます。
検定力とは本当に差がある場合に、正しく有意差があると判断される確率のことです。
 
検定力は0.8(80%)の場合、本当に差があるときには80%の確率で有意差があると判断されると解釈できます。
 
検定力の詳しい解説については過去の記事「【サンプルサイズの決め方】基礎知識や必要性、無料の計算ソフトについて分かりやすく解説!!」を参考にしてみてください。

信頼性はダーツで例えられる

信頼性はよくダーツで例えられます。
 
3本投げたダーツの矢が、常に同じ場所に刺さっていれば、信頼性が高いと言えます。
 
また、3人が投げたダーツの矢が同じ位置に刺さった場合も信頼性が高いと言えるでしょう。
 
この時、信頼性だけの話をするのであれば、ダーツが的の中心に刺さっている必要はありません。
 
的のどの位置でも同じ場所に刺されば信頼性が高いと捉えてもらって結構です。
 
ただし、的の中心に刺さることは妥当性が高いと言われ、妥当性とはその尺度が本当に測定したいものを測定できているかという概念です。
 
的から外れていても同じ位置に刺さっていれば信頼性は高いですが、測定したいものが測定できていない可能性があります。
 
その点には注意して、勘違いしないようにしてください。信頼性をダーツとして例えた図

どんな時に信頼性を検証するのか

心理尺度の信頼性を検証する必要がある場合は2つあります。

  1. 新しい心理尺度を開発した場合
  2. 研究に使用した心理尺度が適切に反応しているか確認する場合
まず、新しい心理尺度を開発した場合は信頼性の検証は必須です。
 
開発した尺度が良好な尺度であることを証明するためにも信頼性の検討は必ず行ってください。
 
次に使用した心理尺度が適切に反応しているか確認する場合にも信頼性の検証は必要となります。
 
これは信頼性が確認されている既存の尺度の場合でも、自分が行った研究の対象者で同じように信頼性が確認されるかは分からないからです。
 
そのため、尺度を使用した研究では主たる分析の前に信頼性を確認する方が丁寧だと思いますが、現状は、このような手続きが取られていない論文も多く、必須とまでは言えないかもしれません。

信頼性の検証方法

一口に信頼性といっても、検証方法の切り口はいくつかあります。その切り口と具体的な手法については以下のようなものがあります。

【尺度を構成する項目間で一貫性があるかどうか】
⇒内的一貫性、折半法

【尺度結果が時間的な影響を受けないかどうか】
⇒再テスト信頼性

【尺度が測定者による影響を受けないかどうか】
⇒検者間信頼性

1つ1つ見ていきましょう。

内的一貫性

内的一貫性とは尺度を構成する項目ごとに、回答に一貫性があるかどうかということを指します。
 
基本的に尺度は同じようなものを測定する項目で構成されていると思うので、「この項目に高い点数をつけたのであれば、同じような項目を測っている別の項目にも高い点数をつけるはず」という考え方です。
 
内的一貫性を検討するためにはCronbachのα係数やω係数の算出が代表的な手法です。
 
Cronbachのα係数やω係数は0~1までの値をとり、1に近いほど内的一貫性が高いとされています。
 
係数がいくらあれば内的一貫性が高いのかという議論はずっとされていますが、いまだに明確な値は示されていません。
 
それは内的一貫性はあくまで信頼性の一側面で、内的一貫性が少し低いからと言って信頼性が低いと言い切ることはできないからだと思っています。
 
「それでも基準を!!」と言われる方は0.8を目安にするのが一般的です。
 
ただ、心理尺度としては0.6くらいでも信頼性があるとして報告されているのもたまに見るので、やはり包括的に信頼性を見る必要はあると思います。

折半法

折半法は1つの尺度を2つに分けて、それぞれの相関係数を算出することで確認されます。
 
例えば、尺度の偶数番の項目と奇数番の項目の得点で相関係数を算出するといった感じです。
 
ただし、折半法には注意点もあります。
 
1つの尺度に複数の因子が組み込まれていて、かつそれらの因子間相関が低い場合です。
 
このような場合は折半法を用いて信頼性の検証を行うことはできません。
 
折半法自体、最近はあまり行われる方法ではありません。
 
それはCronbachのα係数やω係数が折半法の概念を組み込んで算出される数値だからです。
 
Cronbachのα係数やω係数を算出するのであれば折半法まで行う必要はありませんので注意してください。
 
ちなみにここで出てきた相関係数について、詳しく知りたい人は下の記事を見てみてください。
【相関係数とは?】検定方法や目安、結果の解釈の注意点などまとめて分かりやすく解説します!! 学会や論文ではよく相関係数を用いて成果発表がされていると思います。 差の検定と同じく、基本的な統計手法の1つですし、研究疑問を...

再テスト信頼性

再テスト信頼性は尺度の結果が時間的な影響を受けないかどうかを検証するための手法です。
 
「だれが、いつ、どこで」の「いつ」の部分ですね。
 
これは短期間の間に同じ尺度を2回測定し、それぞれの結果の相関係数を確認することで検証されます。
 
test retest methodと呼ばれたりもします。
 
どのくらいの期間で2回実施するべきというのは明確に決まっていませんが、心理尺度の場合は2週間が多いような気がします。
 
空ける期間が短すぎるとテスト内容を覚えていることが懸念され、空ける期間が長すぎると環境の変化などに結果が影響されてしまいます。

検者間信頼性

検者間信頼性では、検査者が異なっても同様の測定結果が得られるかということを検証します。
 
自己記入式の心理尺度などでは関係ありませんが、視力検査や筋力検査のように検査者が必要な測定の場合には検証する必要があります。
 
複数の検査者で実際に測定を行い、結果を級内相関係数を用いて検証します。
 
級内相関係数は相関係数と同様に0~1の間の値を取り、1に近いほど信頼性が高いと判断されますが、概ね0.7以上を目安にすることが多いようです。

まとめ

  • 信頼性とは、測定手法や尺度の測定精度を表す概念
  • 3本投げたダーツの矢が、常に同じ場所に刺さるイメージ
  • 内的一貫性、折半法、再テスト信頼性、検者間信頼性などがある
いかがだったでしょうか。今回は心理尺度の信頼性について解説をしていきました。
 
信頼性は尺度開発では必須ですし、心理尺度を使用した横断研究においても確認されるべき内容だと思います。
 
しかし、信頼性という概念は捉えにくく、検証も難しいと思われがちです。
 
この記事が信頼性について悩んでいる方の手助けになればうれしく思います。
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